※現パロ。オリジナル設定。会いたい二人と別の二人。いきなり始まります。プロローグのみで、絡みは無いです。



「で、どうしたら良いかと聞きに来たのか?」

「ああ、そうだ。」

冷静さを欠いている三成を見て、吉継は元就を見る。
三成がこうなるのは、昔からあ奴がらみだ。

いつも牽制役の、冷めすぎている程に冷静な元就も、頭が廻らないらしい。
こんな所(東京→京都)まで戻って来るくらいだ。


「ぬしらはどうしたいのだ?」


「決まっている!大学を辞めたい!来年違う所に入る。」

「…元就は?」

「我は…」

元就は蒼白としている。

そうよな。
三成も、元就も、前世であ奴らに殺されている。

正確には我もだが。

もしもあ奴らが居たらどうする?
と言う話しを、何回かした事は有る。

また巡り会うと、我は予感していた。


元就も三成も、自我が芽生えた頃からポツポツと前世の記憶がある様で、ある日急に、全ての記憶を取り戻した。

取り乱すわけでもなく、許容していた。


憎いかと聞けば、三成は殺すと言い、
元就は、どうでも良いと言った。

兎に角、会いたくないと、脅えているようであった。

二人共、強がっているのが分かる。
殺された相手になぞ会いたくないだろう。
それも、悲恋を抱えて。

うー、複雑。我もう、考えたくない。


「刑部!兎に角、しばらく向こうに戻らん。」

三成が言う。

「おぬしら、何も持たずに来たのでは?」

「元就と買いに行く。」

「良いのか、大谷?」

「ぬしらの好きに致せ。」


徳川と長宗我部…、もしも三成が言うように大学を変えても追ってくるのではないか?

特に(と言うか主に)あのタヌキの事だから、既に探しているのでは?


もう出会ってしまったなら、逃れられるはずがない。

そう気づいているだろう。




[元就サイド]

長宗我部が、最期に我に言ったのは、お前を思い出す人なんか居ない、お前は永遠に孤独だと。

死ぬ間際まで、その言葉は腹立たしかったが、我はそう言われて当然の事をしたのだと今は思う。


どう言うわけか、今世では本当に何を間違ったのか、石田と双子で、大谷が父だった。

…実は、幸せだ。
独りじゃない。
石田の危なっかしさの面倒をみるのは、不思議な事に嫌じゃない。
大谷も、石田を思う気持ちが一際なのは、前世から理解できるし、我の事もかわいがってくれる。
母は、我らを産んで死んだが、寂しいと思った事がない。
一応居候の黒田も居る。


だから、長宗我部とは、もう会いたくない。
我は、今の暮らしで満足なのだ。

もう、踏み入れられたくない。

どう言う顔をして会えば良いのだ?

だから、姿を見て逃げていたのだ。
いつか、こんな日が来ると分かりながら。

[三成サイド]

死ぬ寸前まで貴様を恨んでやる
と、私は言った。

実際、最期に何て言われたか、言ったのか覚えていない。

何だか温かかった気がして、今思い出すと、それも無性に腹が立つ。

私はきっと、最期に死ねとか殺すとか言ったのだろう。

本当は…。




今世では、戦いのない世に産まれた。
毛利と双子で、刑部が父だった。

私は幸せだ。
刑部とまた一緒に居れるし、
毛利も不思議な事に、居てくれて落ち着く。
どうでも良いが、黒田も何故か一緒に住んでいる。
刑部が楽しそうだからいい。

秀吉様も半兵衛様も居られないが、平穏な毎日を過ごしている。


だから、貴様に会いたく無かった。

もう、関係のない生をおくりたい。

どんな顔で会えばいい?何と言えばいい?

まだ憎めばいいのか分からないから。



「三成」

そう、甘い声色で言って、奴は姿を見るなり抱きついて来た。

信じられん。

頭のネジが飛んでいるのではないか?

前世の事、私の今までの葛藤は無視か?


苦しくて、元就に助けを求めると、元就が、手を引いて助けてくれた。
そのまま、ダッシュで、私より足の遅い元就の手を引いて逃げ去った。

何を考えているのだ?!

強い力で抱き締められた身体の節々が痛む。

前世でも、あんなに強い力で抱き締められた事は無い。
殺す気か。

あまつさえ、あのニコニコした顔、声色、全てがムカつく。


その足で、元就と二人で暮らすアパートから、刑部の住む実家まで帰った。

元就は隣りで、私の、奴が憎い話しを聞き、なだめてくれていた。





[会いたい方サイド]


「三成が居たんだ!!」

「あ、おお、そうか。落ち着けよ、家康。」

元親は、飲みかけのいちごオレのストローを口から放す。
扉を開けるなり、突然の事に吃驚した。


「毛利と手を繋いで逃げられた!」


瞬時にいちごオレは握り締められ、中身がブシュッと飛び出た。

「毛利が居たのか?」

「ああ、二人共、ワシらと同じ制服を着ていた。」

「何で2人で逃げるんだよ?」

「ワシが知るはずないだろう!」

「家康!」

「ああ、捜さないと!」

今すぐ、この夜空の下を駆けて行きそうな家康を、元親は黄色いフードを掴んで止める。

「今行ってどーすんだよ。明日探そう。」



元親のアパートで、どうするかと話しをした。

幼馴染だったが、傷に触れるようで、この話しをここまで真剣にした事は無かった。

「俺は、前から言ってるように、最期にあいつにすげー酷い事を言っちまったから、恨まれてる。」

「ワシだって、許して貰えるはずがない。」

重い空気が流れる。

「実際逃げられたんだろ。何か話したのかよ?」

「いや、余りにも嬉しくて、抱きしめてしまったら、毛利に水をかけられて逃げられたんだ。」

「家康、お前…」

いきなり抱きしめるのはヤベエと思いつつ、毛利は相変わらずだと思い、少し笑う。


「何で一緒に居たんだろう?すごく仲が良さそうだった。一緒にご飯を食べていたし、三成が、毛利の手を繋いで逃げたんだ。」

言いながら黒いオーラを纏う。

「友達なんじゃねーの?」

二人は、とにかく探そう言う事で合点した。