※basara4。明暗が有ります。
家康暗いです。


左近アニメルート後

【1】左三

「みっ、三成様!?」

あれからかなりの日数が過ぎ、未だに斬られた傷で布団で寝たままの俺が目を覚ますと、斬った張本人が横に正座して居た。

凛とした姿は、相変わらず美しい。

謝罪され、もう傷はくっついているので、いつでもお役に立てると答えた後に、まさかの流れになっている。

「ずっと、こうしたかったのだろう?」

布団に身体を乗せ、見下ろされた。

「そっ…」

そりゃあ、あんたを抱きたかった。
出会った瞬間から、一目惚れしていた。
だけど。

「あの、何かの冗談っすよね?俺に惚れちゃったとか?」

ありえねえ。

じゃあ、命懸けだったご褒美かな?
いや、ありえねえ。

ヘラッと笑う俺に対し、真っ直ぐこちらを見つめている。

「…家康を忘れさせてくれ。」

は…
時間が止まったかと思った。
三成様の口から二度と聞きたくない名前。

気がついたら、己の上司を布団にひっくり返して居た。

正直、傷はまだ痛むが、いける。
あんな奴を三成様の記憶から消したい。
俺がこうして忘れられるなら。





「三成様、俺もうあんたしか抱かねぇよ。」

ギューッと抱きしめる。

「…なら私もそうしよう。」

「ほっ、本当ですか!? 本当に!?」

三成様、嘘つかないのに!?マジで?俺の嫁じゃん!

「うるさい」

「じゃあ、とりあえず毎日一緒に寝ましょう!…って、なんでそんな顔するんすか!三成様が言ったんですからね!」


【2】黒家康のターン


「久しぶりだな、三成。」

「放せ!」

忠勝に捕らわれ、膝をついている目の前に家康が居る。

「私に触るな!死ね。」

身体に纏う紫色のオーラは、段々と色濃くなり、眼に狂気が宿り始める。

「やっと捕まえた。大変だったぞ。」

笑っている。

私を捨て、秀吉様と半兵衛様を殺し、何でも思い通りにしている男。

…狂う。
状況についていけない。

この場に居ない左近を捜す。記憶の中から必死で探した。

眼は正気に戻っていく。

「私を殺せ!」

「殺したりしない。」

「触れるな!」

頬に向かって延ばされた手を、顔を背けて振り払う。

顎を手で押さえつけられて、無理矢理に唇を重ねられた。

鈍い音と共に、すぐに解放される。
家康は、噛まれて切れた唇に手を当てた。血が滴り落ちる。

家康が笑うのが見えた。初めて見る笑い方で、ゾッとした。

全身で拒否していたが、無駄だと知り、抵抗をやめる。

「何を考えている?ワシの事を考えろ。」

荒々しい。

「左近と約束をした。もう奴としか寝ないと。」

ざまあみろと、笑って言い放つ。

お前なんかと寝ない。
お前なんか好きじゃない。

「そうか、じゃあ、左近の為に生きてくれ。」

感情のないように言い放つ家康の後ろに、忠勝に抱えられている虫の息の左近が見えた。