※輪廻設定、現世パラレル

【プロローグ】


始めて見たのは、高校の入学式。
その時から目を奪われていた。


春の風、桜が舞い散る中の君を見た時、目を奪われた。
沢山居る人間の中で、君だけ輝いて見えたんだ。
そして、これが始めてじゃないと、何処かで以前にも、この光景を見たことがあるような気がした。

「あ,,,」
行ってしまう。
何か話して近づかなきゃ、今すぐにと思った。

僕は、人を掻き分け、その人の近くへ行く。

「あの、」
その人は、振りかえると、ビックリしたように目を大きく見開く。

「,,,何か?」

想像どうりの声だと、何故か思った。

「前に何処かでお会いしませんでした?」

「…」
考えて居る。

「会った気がするが、思い出せない。」

その人の声を聞けば聞くほど、近くに居たいと思った。

僕の高校生活はとても楽しくなりそうだ。

【1】

「総司、早く起きろ!」

僕の布団をガバッと剥がしたこの人の名前は、土方さん。

両親が居ない僕を引き取ってくれた稀有な親戚。
顔は恐ろしく美人、頭もいいけど、僕は嫌い。

土方さんは、看護師をしている。
僕の大好きな、近藤さんと言う、整体師さんと付き合っている。
二人共、大鳥記念病院と言う病院に勤めている。

僕は、しょっちゅう、怪我や風邪をひいていて、その病院にはお世話になっている。

僕は最近、学校に行くのが楽しい。
今までダラダラと過ごしていて、すっかり怠け癖がついていると、土方さんは思っているが、
この、高校生活が始まってからは違う。


「起こされなくたって起きるから、放っておいてくださいよ。」

「てめえ、どの口がそれを言ってやがる。」

今までムリヤリ起こして、学校に送り出していた土方の眉間に皺がよる。

「さてと、早く学校にいかなくっちゃ。」

高校に入ってから、確かに総司は楽しそうに学校に行くようになった。
土方は安心していた。
何でも本人がやる気にさえなれば、人並み以上に出来る子なので、この変化は、土方には嬉しい。


リビングに戻ると、総司が朝食のトーストを牛乳で流し込むように胃に収め、出ていく。

本当に、どうしちまったんだろう、あいつ。

土方は目を細めて、自分の出勤の準備をする。

【2】

「最近、総司が元気なんだよ。」

元気だなんて相談はおかしいのかも知れない。

「そう言えば、最近来てないなあ。」

春の暖かな日が差し込み、新緑を覗む、職員の休憩用のドリンクコーナー兼談話室。

俺は寂しいけれど、良い事じゃないかと、近藤は微笑する。

「今まで朝、嫌々学校に行っていたのに。今は飛び出して行ってるぜ。」

「なにか、したい事とか、好きな人でも出来たんじゃあないか?」

そうだよなあ。

「茶道部に入りたいとは言ってたけど。」


土方は、カップに入ったコーヒーを見つめながら言う。

「茶道部なんてあるのか?」

「ああ。どう考えても、やつの趣味じゃねーよな。」

「ううん。」

総司は、のらりくらりと、俺達がやっていたからと言う理由で、今まで剣道をしていた。

何をしても器用な子で、本人がサボらなければ、全国制覇も夢じゃなかったのに。

茶道ねえ。
近藤は、可笑しくなってフフッと笑った。


「おおかた、可愛い女の子に誘われて入ったんだろう。今度、総司に会いに行くよ。」

「ああ。」

二人は、休憩室を後にする。


総司は、モテモテと言う形容が冗談じゃなく、幼い頃からモテた。
でも、当の本人は誰かに固執する事はなかった。

そんな飄々とした所が魅力でも有るのだろう。

近藤さんの言う通りなら、あいつの色恋沙汰なんて始めてだ。

何故か不安な気持ちになった。


【3】

「ねえ、はじめくん、今日、僕の家に遊びに来ない?」

梅雨が明けきり、初夏の頃、
心臓をバクバクさせながら言った。


入学式以来、僕がはじめくんに付きまとうようにして、いつも一緒に居る。
彼は、嫌がる様子もなく、側にいてくれる。

茶道部に入ると言うので、僕も入部してみた。
何が楽しいのかさっぱり分からないけど、一緒に居れるので楽しい。


「夕時に行ったら、ご家族に迷惑になるのではないか?」

「僕、親戚のオジサン(悪意有り)の家で暮らしているんだけど、その人、仕事時間が不規則で、今日は深夜まで帰らないんだ。」

「そうなのか。」

「ダメ?」

「だめではない。総司の家に行ってみたい。」

うわあ。
なんて可愛いんだろう。
微笑しているはじめくんを見て思う。



「おじゃまします。」

「全然邪魔じゃないよ。
狭い所だけど、どうぞ上がって。」

はじめくんは、キッチリ靴を揃えて上がる。

白い壁、白や黒の家具に囲まれたリビング。全体的にモノトーンで、落ち着いている。
若干神経質な土方さんのおかげで、清潔で綺麗に整っている。

「キレイだな。」

「うん。ここが僕の部屋。」


ドアを開けた部屋に通されると、テレビ(デスクトップPCのモニターにもなっているらしい)に、PS3、ベッドにテーブルにラグ、本棚。大きなクローゼットも有るようだ。


至って普通でシンプルな部屋。
ただ、この部屋にはカラフルな物が溢れている。暖色系だ。


総司らしいと、斎藤は思った。


本棚を見ると、全く統一性の無い書籍が並ぶ。
残酷な世界史の隣りに、整体士の本が数冊有った。


「整体士になりたいのか?」

「うーん、尊敬している人が整体士だからなりたいけど、まだ良く分かんないや。」

と苦笑する。
総司に向いていそうだなと、斎藤は思う。

「はじめくんは?何になりたいの?」

「俺もまだ決めていないが、病人を助ける仕事がしたいと思う。」

「病人て、医者とか?」

はじめくんは赤くなる。

「なれると思うよ。頭もいいし、向いてると思う。」

「そうか。」

素直にそう言われるとこそばゆいが、嬉しい。

「ねえ、はじめくん、何する?」

「え?」

そう言えば、男二人で、部屋で何をすれば良いのだろう。

「あんたは、何がしたいんだ?」

うわ、質問返し。

したい事、そりゃあ、僕は下心の有る事もしたい。
はじめくんに一目惚れをしているし、綺麗だし、いい香りがするし、愛しいし、
そんなものが隣りに有って、二人きりともなれば、やる事は限られている。

だけど、そんな僕の気持ちは全然言ってないし、嫌われたら生きていけそうにないし、

我慢するんだ、僕。


「そうだなぁ、ゲームとかする?」
僕はテレビゲーム機を見る。

「ああ。」

総司はリビングからWiiを持って来た。

最近土方さんとハマっている、刀で敵を斬っていくゲームをしてみた。
コントローラーにモーションキャプチャーが付いている。


はじめくんは、テレビゲームが始めてらしく、動作が辿々しかったけど、敵を切る所だけやたら上手かった。

対戦したら、ギリギリで負けて悔しかった。
持ち主の土方さんにも勝てそうだ。
土方さん、剣道すごい腕なのに。


ひとしきり笑ったり、学校の話をしたりしていたが、静かな科白が出来る。

「…もう、こんな時間だな、帰る。」

沈黙の後、はじめくんは、時計を見て言う。

「え?まだ10時じゃない。」

「オジサン、夜に帰って来るんだろう。」

「まだまだ来ないよ。嫌だよ、もっと一緒に居てよ。」

「あんたなぁ、また明日、学校で会えるだろう。」

はじめくんは、袖を掴む僕に困った顔をした。

学校では周りに人が居るじゃないか。こんなにハジメくんに近づけて、独占出来る事ないし。


「また遊びに来て良いなら来るから。」


そんなに帰りたいの?と思ってしまう。
僕は、ずっと一緒に居たいのに。

「…だ。」

「え?」

今言わなきゃ男がすたる。言わなきゃ近づけないままだ。
それに若さの勢いも加わって、口に出していた。

「好きなんだ。」

「あ、ああ。俺も総司を好きだ。」

はじめくんは間髪入れず、間抜けな回答をする。

「そうじゃなくて!」

僕は、はじめくんを近くに引き寄せる。
中腰で引っ張られて、よろけた身体が僕の近くに膝をつく。

「ずっと好きだった。」

ずっとって、出会ってまだ3ヶ月しか経ってないはずたけど。

僕の心臓は、今まで経験した事が無い程、ドキドキと脈打つ。

「あ…その…」

はじめくんは、僕の方を見ない。

僕は彼の至近距離に有る唇を狙う。
お互いの唇が触れる寸前で、押し退けられた。

「今日は遅いから帰る。」

はじめくんは、鞄を掴むと、急いで出て行ってしまった。


えー?僕の初恋ってこんななの?
並々ならない物を感じているのに。


僕は、心臓を針で刺されたような痛みを感じる。
身体も重い。
世界が急に灰色に見えた。

徐々に事の重大さに気付いて、ますます体調は悪化していく。

もう、どうでもいいと思った。
とりあえず、スマホを近くに置いて眠った。

【4】

最近、起こさなくても起きてくる総司が起きて来ねぇ。

もう、出かける時間は差し迫っている。


土方は、ハァーッとため息をつくと、総司の部屋に向かう。

「おい、起きろ!」

「やだ。僕行かない。」

総司は布団を深くかける。
何なんだ、このガキは。

「馬鹿言ってねーで、起きやがれ。近藤さんに言いつけるぞ。」

中学生の時、サボり癖の有った僕は、自分の為に学校に行くんだと、近藤さんに諭され、必ず行くと誓いをたてたんだった。

総司は、おずおずと布団から抜け出す。

うう…身体が重い。
絶望で打ちひしがれた身体は、ますますひどい事になっている。

土方は、沖田を見て軽くため息をつく。
目が赤い。
言わんこっちゃねーと思った。
好きな女にフラれたんだろう。


シャワーを浴びてくからと言って、準備をし出した。


保護者として、何か言ってやりたいが、俺が何か言っても聞かないのは、よ く分かってる。
ただ、いつもより手の込んだ朝食を用意した。

近藤さんに励ましてやって貰おうと思い、家を出た。

【5】
2限が始まってから、 僕は教室に着いた。

数学をしていた。

席につき、斜め前方のはじめくんを見る。
いつもどおりの様子だ。

休み時間になり、僕は気まずさから席に居ると、頼んでもないのに、1限のノートを貸してくれると、女子が申し出てくる。

いつもなら当然はじめくんに頼むのに、出来そうにない。

きっと、僕の事は、気持ち悪いホモ野郎だと思っているのだろう。考えるほどに、具合が悪くなる。
吐きそう。

本当に風邪をひいたらしく、咳が出る。

昼休みも席に座ったまま、離れられない。

こんな状態を狙って居たかのように、はじめくんに女子が話しかけている。

うー。こんなのずっと見なきゃいけないのか。耐えられない。
僕に話しかけてくる甲高い声が、耳障りなノイズにしか聞こえない。

「僕、具合悪いんだよね。」

大丈夫かって?
大丈夫じゃないから放っておいてよ。

僕は、購買でマスクを買って来て、机を枕に寝た。

もう、何も考えたくない。

そんな日が3日続いた。
具合は悪くなるばかり。

大丈夫かとか、風邪が早く治るといいねとか、女子が話しかけてくるのを適当にあしらう。

よく入れ替わり来るよな。
家で何をしてるかとか、君らに関係ないじゃない。

はじめくんにも取り巻く人は違えど、同じように聞いてるのを見かける。



今日も茶道部に行かず、早々に家に帰ると、土方さんが帰宅していて、近藤さんが来ていた。

僕は嬉しくなる。

「総司、最近元気がないと聞いたぞ。」

「風邪を引いちゃって。」
僕は相変わらず咳をする。

「また風邪か、早く治せよ。」

見かけによらず身体が弱く、しょっちゅう身体を壊している僕は、風邪なんか日常茶飯事だった。

近藤さんは僕の背中を叩く。

「学校でも何か有ったんじゃないのか?何でも俺に話せよ。」

「うん。ちょっと色々,,,」

考えると具合が悪い。

「女にでも振られたのか?」

うーん、確かに盛大に振られた。絶対に振られたくない人に。


「そんなの気にするな。俺なんか何度フラれたか分からないぞ。」

土方さんが、無言で近藤さんを見て威圧している。

「だが、誠意を持って居れば、自ずとなるようになるもんさ。一番良い相手とくっつくように出来てるものだと、俺は思う。よし!なんか旨い物喰いに行こう!」

「うん。」

言ってることは土方さんとの事っぽくてムカつくけど、ポジティブで素直な近藤さんと話せて元気が出てきた気がする。


「しかし、お前を振る人間も存在したんだなあ。総司?」

行こうと促され、立ち上がった僕は、視界が霞む。大きく目の前が揺れた。

「総司!」

僕を呼んだ近藤さんが土方さんの事も呼ぶのが聞こえた。
意識が遠くなる。
咳止めを飲みすぎたのかな?

【6】

それは、見慣れた場所だった。
薬品やらの独特の臭いがする。

ここは、幾度となくお世話になった、大鳥記念病院だ。
腕に付けられた点滴の針が、現実に急速に覚醒させる。

「総司。」

土方さんが話しかけてくる。
その横に近藤さんがいる。

「僕、どうしたんですか?」

ブラックアウトしたのだろうが、どうなったのか経緯を聞きたい。

「ったく、俺としたことが。」
土方さんは頭を抱える。

「総司、お前、結核なそうだ。」

近藤さんが苦笑して言う。

「はあ?結核って絶滅したんじゃあ?」

絶滅?自分でも良く分からないが、とにかく、もう無い病気だと思っていた。

「予防接種を受けていないと、かかる人も居るそうだ。本来、小さい時に受けるものなのだが。」

ああ、僕は両親が亡くなったり、色々バタついていてきっと受けていないんだなと思う。

看護師長と言う立場なのに、身内の僕の病気に気づかなかった土方さんは、ショックを受けているのだろう。

「治るんですか?」

土方さんに声をかける。

「ああ。投薬で治るが、おめえは、症状が重いから、一週間入院だ。」

「ええっ。」

吃驚したが、何だか丁度いいかもしれないと思った。
学校に行って、はじめくんの事を考えないで済む。

「大袈裟だなあ。土方さん、大鳥さんにお願いして延ばして貰ってません?」

んな事ねえよと言って、頬を摘ままれる。

「痛っ、何するんですか」

ゆっくり休めと近藤さんも言って、出ていく。

同じ病院内に二人ともほぼ毎日居るし、何も心配はない。
僕は眠りにおちた。

はじめくんにフラれて、全てが嫌になって怠くてしょうがなかったけど、病気だったのか。
どうりで、辛すぎるはずだと僕は納得する


【7】

日中はまた大鳥さんに看て貰って、
暇すぎる一日を過ごしていた。
夕方、入るぞと、土方さんの声がして、
僕は有り得ない事態に遭遇した。

「な、んで?」

土方さんの横に、はじめくん。

「彼が家に訪ねて来て、病院に一緒に来たいって言うから連れて来たんだ。」


余計なことしないで下さいよと言いたい。
それより、何ではじめくんは僕なんかに会いに?

「,,,」

なんて言ったらいいのか分からない。

土方さんは、僕に部屋に置いたままのスマホを渡して、仕事場に用事が有るからと言い部屋を出ていく。

気まずい。

「具合、どうだ?」

「そんなに悪くないよ。入院なんて大袈裟なくらい。」

久しぶりに話したけど、普通に話せそう。
病気さまさまかも。こんな事を思っているなんて絶対言えないけれど、嬉しい。


「,,,総司、あの、先日」

「ゴメンね。僕が悪かったんだ。」

お詫びなんて聞きたくなくて、言葉を遮り、謝る。
無かったことにしてくれて、また今まで通りになったらいいのにと思う。
上手く笑顔を作れているはずだ。

「え?」

はじめくんは、僕のパジャマの襟を引っ張って、唇を重ねた。

「何してんの?」

相変わらず綺麗な顔の、両の蒼い眼が潤んで揺れている。

「ごめん」

何が?
何で謝ったの?
今されたことに思考が追い付いてきて、赤面する。はじめくんも赤くなってる。


「俺も、お前をずっと好きなのに、逃げてしまった。」


え?神様、これは夢?

僕は、手を延ばしてはじめくんを抱き寄せて、綺麗な瞳に溜まった涙を掬って、口づけた。

わあ。倖せ。

これから、色んな所に一緒に行って、色んな事をして。

「総司、充電器を、、」


土方さんが、扉を開ける。

「!?」

はじめくんは、真っ赤な顔でカバンを掴むと、土方さんに一礼して逃げ出してしまった。

「土方さん」

「悪かったな。」

うわー、間が悪すぎる。最悪だ。


「総司、おめー、悪化すんぞ。」

追いかけようと思うが、ぐっと我慢する。

最悪だけど、幸せ。
顔が綻んでしまう。


土方さんは、充電器をベットサイドに置き、出ていった。


これから色んな所に行って、色々しようねと、はじめくんにメールする。


end







【保護者】

やっぱりな。


総司が入院してから、家を尋ねてきた、クラスメイトだと言う彼。

独特なオーラを纏っていて好感を持ったが、
立ち居振舞いで、見かけどおり真面目なんだと分かり、更に好感が持てた。

総司が友達を作るなんて珍しい。


それも、こんな真面目そうな子を。
適当な性格の総司とは正反対に見える。


電話やメールも繋がらないと言っていたのを聞いて、スマホを部屋に置きっぱなしなんだと分かり、病院に持って行ってやろうと思う。

斎藤と名乗った彼が、大丈夫なのかと心配している様子を見て、
今から病院に行く所だったから、一緒に行くかと聞いていた。


「斎藤くん、小さい時に、BCGって言う予防注射したかどうか分かる?」

車内、斎藤くんは青冷める。

「総司は結核なんですか?」

「ああ、大丈夫だよ。入院は一応させたけど、薬で治るから。」


斎藤くんは、予防注射を打っていた。


だよな。普通、受けるのが当たり前だろう。俺が早く気付いていればなあと、また罪悪感を感じる。


「そう言えば、あいつ最近、フラれたんだろ?そっちの方が心配。」

ハハハと笑う俺に、斎藤くんは更に青冷めているような感じがした。
何か関係していたんだろうか?


「あいつさ、高校は楽しそうに行ってたんだよな。あんま俺と話さねーから、分かんねーけど。そう言えば君、部活は何してんの?」

「茶道部です。」

…。

「その部に、誰か可愛い子でも居るの?」

斎藤くんは、考えている様子だ。
思い当たらないのだろう、困っている。

「部活、面白い?」

「はい。なかなか奥が深いです。」


キラキラしている。
ああ、きっと、この子に影響されて茶道部に入ったんだなと、勘が働いてしまった。

そして、病室で、総司が彼を抱き締めている所を不慮に目撃する。

やっぱり…。


総司は翌日から、かなり元気になっていた。
また朝起こさなくても、自分から学校に出かけて行くに違いない。