※オリキャラが出てきます。管理人自己満足の意味の分らなさもいつもより強め注意。
−ミント−
シトシト雨降る6月。
シンタローに彼女が出来たらしい。
ガンマ団本部のある山奥を降りた、近い街に住んでいるらしい。
普段、お友達皆無、人と話さないアラシヤマにも、自然と耳に入って来る。
思えば自分らは10代後半。
当たり前な事だ。
他の団員は、例によって同性でシテたり、外でお金を払い済ませている。
ただ、今まで、シンタローと特定の女性との関係を耳にした事が無かった。
ユキとか言う名前だとも、別に知りたくもないのに、耳に入ってくる。
アラシヤマは社員食堂で、いつも通り、はじっこに座って、日替わりランチを食べていた。
今日はミートパスタと豆のスープとサラダとカタラーナ。かなりレベルの高い味を提供してくれるが、豆類が苦手なので、スープは美味しいとは思えない。
外にはアジサイが咲いている。
いつも思うが、咲いていると言うより、群生。咲き誇って見える。
青とピンクの花は、それぞれ淡く白が入っていてグラデーションが美しく、葉っぱは青々しく、コントラストも綺麗だなと思う。
一輪にあんなに花がついとったら寂しゅうないやろなぁ。
わけのわからない事を考えながら、アジサイを凝視していた。
「外に何か居んのかよ?」
一番話したくない相手の、シンタローがわざわざこんなはじっこに来て、話しかけてくる。
「別に」
「お前が一点を凝視してると怖ぇんだよ」
そんな事、俺の自由やろ。
「花を見とっただけやし。」
あんさんの許可が必要なんどすか?
またいつもの喧嘩になりそうな部分を、言わず、
アラシヤマは、豆のスープを飲み干し、席を立った。
「そう言や、彼女はんができはったんどすってなあ。」
季節もすっかり変わったある日、
玄関のチャイムの音に驚く。
出ると、宅配業者だった。
手にはアジサイのバスケットを持っている。
受け取り、依頼主を見ると、シンタローから。
爆発物などを探したが、無いようだ。
なんのつもりか分からず、取り敢えず玄関に置きっぱなしにする。
あのアジサイの植えられている通りには、今は違う花が咲き乱れてる。
アラシヤマは、通りかかり、足をとめた。
ガンマ団専属の庭師が、花壇の手入れをしていた。
「どうかしました?」
庭師の初老の男が、立ち止まる自分に話しかけてくる。
「い、いや、アジサイ、綺麗どしたな思て。」
今は葉っぱだけのアジサイを見つめる。
「ああ、これは正式にはハイドランジアと言って、ユキノシタ科、土が酸性だと青、アルカリ性だと赤になるんだよ。」
頼んでもいないのに、教えてくれる。
「へえ。」
ユキノシタ科ね。そう言う事かと、相手の思惑が分かった。
最近、やたらと話しかけてくるけど、ユキって女性の格下や言いたいわけか。
わざわざアホちゃうか。
「あの、何か、送られて困る花てありまへんどすやろか?」
「え?そうだな、ミントとかは、増えすぎちゃって困るよ。」
庭師は、不思議そうな顔をし、苦笑しながら答える。
アラシヤマは、お礼を言うと、与えられた仕事に向かった。
後日
あいつ、普通、こんなちいせぇ花、人に送るか?
てか、鉢ごと。
送られてきたミントをシンタローは見つめた。
というか、ハーブで葉は使うが、花なんて咲いてるの初めて見たし。
持っていた本で、さっそく花言葉を調べてみる。
「「もう一度愛して下さい」」
え?
end
アジサイの花言葉は、 移り気・高慢・辛抱強い愛情・あなたは美しいが冷淡だ・無情・浮気・自慢家・変節・あなたは冷たいなど。
この花を好きだと知っていたから送ったって感じ。
ミントは、 美徳・効能・有徳の人・かけがえのない時間・貞淑など。
裏花言葉が、もう一度愛してください。
増えすぎちゃって困ります。