オリ設定強い。
アラシヤマの休日
−プライベート−
久しぶりに連休が出来た。
休みなんてものは基本なく、処理が終わったら作れると言う感じだ。
我ながら、手際がよく、部下にも休ませてやれる。
シンタローに見つかったら、無かった仕事が増えるのだろうが、今の所、何もない。
アラシヤマは、お気に入りの和食の店に行く事にした。
た
休み自体が久しぶりなのに、明日もお休み。
胸が踊るが、特に予定もない。
朝、いつもどおりに目が覚めてしまい、起きて準備をする。
久しぶりに、制服以外の服を着て、久しぶりに香水をつけて、
一人だと言うのに、気分はルンルンだ。
淡い茶色い、トレンチコートに、Vネックの黒のシャツ、かなり薄黒のデニムのパンツ、茶色の革靴(底は濃い青紫色)に身をつつむ。
香水のトップノートはよく変え、今日は柑橘系だが、
ラストノートは、サンダルウッド系の、甘く落ち着いた香りが好きだった。
長財布と、スマホをポケットに押し込む。
本部の寮を出る時に、同じフロアの近くの部屋に住むミヤギとすれ違う。
「いいなー、オメは休みだべかぁ。」
「たまに休ませて貰わな、やってられまへんわ。」
「お、アラシヤマ。ぬしの私服、初めて見るのう。」
「あー、私服の方がイケメン。でも、やっぱり陰険だっちゃね。」
自然と、同フロアの顔馴染み達が集まる。
「う、ほっといておくれやす。」
「ナンパされんよう、気をつけるんじゃぞ。」
コージはワハハと笑う。
「外見に騙されて逆ナンしても、中身で去ってくれるっちゃよ。」
散々な言われよう。
「もう、わて急ぎますさかい、あんたら早ぅ仕事行きなはれ。」
ふわりと、香水が香る。
「あ、何かいい臭いがするべ。」
「イイ思いしてくるんじゃぞ。」
コージは笑いながら、他の二人と、本部棟へ繋がる階へ行った。
何か、誤解されてはる。
ガンマ団員がプライベートで出かけるって、大抵、商売女とウサをはらすのもセットやもんなあ。
ましてや、ノーマルやと思われてる(有名な)わてやし、そう思うのが自然なんやろーな。
だったら、デニムなんか履かんけどなあ。
アラシヤマは、
エレベーターで1階の地上へ降りた。
へんぴな所に有る本部から、タクシーで1時間揺られると、街だ。
タクシー運転手は、最早専属と言っていいくらい同じ人が来る。
イニシャルD並のドリフト、めちゃくちゃ早い。
わあ、久しぶりどす。
老若男女、人が沢山居る。
人混みは嫌だか、閑散としてるのも寂しいので、丁度良い。
一人で適当な店でコーヒーを飲んでいると、スマホを切っていた事に気がついた。
なんたる失態!
部下からの連絡や何やら、何が有るか分かりまへんのに。
すぐにオンにする。
着信履歴21件。
from.シンタロー
エンドレス。
「ヒイッ!」
アラシヤマは現実逃避をしたくなった。
そうだ、京都に行こう!
行ってどうするんや!
乗り突っ込みをして愕然とする。
意を決し、電話する。
きっと、仕事に逆戻りや。
「もしもし。」
「遅っせえ!何考えてんだ、減給すっぞ。」
「う…すんまへんどした。気を付けます。どうしはったんどすか?」
「お前、今何処に居んの?」
なんや、不躾な質問やな。
「わての班の仕事は片付きましたさかい、昨日、休みの申請は出して有りますえ。」
「じゃなくて、場所。」
「ここは…ド○ールいや、ス○バ?何かあったんどすか?わて、戻りますわ!」
「いや、何もないけど。」
「は?じゃあ、わてのプライベートに何か問題でも?」
「あんに決まってんだろ。何処に行くか教えろよ。」
ええ、そこまで言わないといけないのか、面倒くさいと思う。
「部下の行動まで把握せなあかんなんて、大変やな。」
半分嫌味を言ってしまう。
「いや、お前だけだけど。」
「そりゃあ、そうやなあ。」
わては実力No.2やし、便りにされてはりますんやなあ。
と、アラシヤマは思う。
「わて、この後、夕食を摂ったら帰りますわ。」
「ふーん。あ、やべ!内線だ。お前、それ喰ったら帰って来いよ!そして俺の部屋に来い。」
ピッ、と、電話は切られた。
ああ、明日は休みやから、明日こそ朝ゆっくり寝ていようと思ったのに。
アラシヤマはブルーな気分になる。
end