−連絡−



((な、なんて打てばええんや?!))

アラシヤマは、持っている携帯電話とにらめっこしていた。

普段スマホを持っているが、パソコン代わりにしているだけで・・・
連絡て…。

アラシヤマは、画面をずっと見つめている。

遠征に来て7日目。

久しぶりの着信音。

「アラシヤマくん、今、手に携帯もってるよね?」

(うわ、何か怒ってはる。)
携帯を渡してきたシンタローの声。
淡々としているのが怖い。

メールを打つ時間もないのかと言われた。

此処はそんなに危険な場所でも無く、交渉と言う名目で来ている。
空いた時間は事務処理。
つまり時間はあるが、

考えれば考える程、何と送ればいいのか分からない。


「なあ、友達にって毎日どんなメールを送るもんなん?」

難しい顔をしていたアラシヤマは、
部下に、話しかけてみる。

「え?毎日なんて送んないですよ。」

若い彼は、苦笑する。。

「あ、ああ、そうなんや。じゃあ、何をいつ送るん?」

「え・・・今度飲もうとか、何か変わった時に連絡するくらいですけど。」

「へえー。」

「隊長、それって・・・」

もしかして、彼女でも出来たんですかと聞きたかったが、口を噤んだ。
他の同僚に見つめられている。

隊長と世間話をするなんてズルいと言う嫉妬だった。
それは、アラシヤマの部隊で専ら噂になる。


夜になってしまった。

ああ、何か送らへんと!

深夜2時

to: シンタロー
from: アラシヤマ
〈本文〉
何も変わった事がありませんでした。



これが、遠征から帰るまで毎日シンタローに届く事になる。

本部に帰って、
シンタローに怒られるアラシヤマの姿が目撃される。




end