―好き2―
だるい…。
重い頭に手を当てながら、ベットからゆっくりと上半身を起こす。
違和感を感じる。すごく身体が痛い。
すぐ横に新総帥が寝ていらっしゃる。
わてのベットで。
わてのベットで!?
凍りついて動けなかった。
どうか、起きないで!
そして、わては、もう一度寝て、起きたら、夢だった事にして下さい、神様。
そんなわけにいくはずもなく、シンタローは目を覚ます。
同じように頭を押さえているシンタローと目が合う。
シンタローも、曇った表情をしたので、これは事故だと察した。
布団をチラッとめくり、下半身を見る。
衣類はベットの周りに散乱している。
どう見ても、事後。
ブルーな空気が流れる。
パプワ島で、一度こういう事はした。
だから、きっと、慣れて、錯乱してこうなったんだ。
恐るべし、アルコール飲料。
「・・・。」
わてが悪いんやろうか?
昨晩、シンタローが話しが有ると言い、部屋に尋ねて来た。
何だかいつもと違う様子だった。
部屋に居れたが、
部屋で友達と二人きりでお話しをした事がないし、
ましてや、シンタローだし、
兎に角、冷蔵庫に大量に有った酒を出してみた。
酒を好きなわけでは無いのに、特戦部隊の面々が、決まって手土産に持って来るせいで、色々な酒が揃っていた。
自慢しつつ、大量のアルコールを2人で試飲しながら話していた。
シンタローの話しは、ガンマ団の話しではなく、
例の、求婚メンヘルお嬢さんがまたパーティーにやって来たと言う話から始まり、
過去の自分との話しを色々言い出して、
パプワ島に行く前の、因縁めいた話しをされて、ムカついてきて、
そんなのどうでも言いと言って、お酒を飲んでいて、
それから、記憶が…。
記憶を辿る作業をする。
頭はフル回転なのに、雲がかかったように、出て来ない。
ああ、そう言えばこの人、わてを好きだとか言うとったような。
フッと、笑ってしまった。
「何だよ?」
頭に手を置き、下を向いていたシンタローが、こちらを見る。
「いや…、何しとるんやろと思って。」
お互いに錯乱していた時の事なのに、蒸し返したって馬鹿みたいだ。
「あのさ、もう1回言っとくけど、…好きだ。」
はいいい!?
目をジッと見て言われて、たじろぐ。
「おめー、やっぱり覚えてねーだろ。」
怒って言い、ため息をついた。。
「そないな事、言うとった?」
いや、言ってたけど…。
シンタローが、わてを?
胸がバクバクと鼓動を始める。
「…何でわてら、してしまってるんやろ?」
「俺も記憶がねーよ。」
えー…。じゃあ何で今告ったんや、この人!?
「ただ…、好きだ。」
うわ!?
ヤバい。
美形なのは、出会った時から分かっていたけど、
血統も良く、プライドも高く、女なんて選り取りみどりのお人が、
何、マジマジと、わてを見て告ってはるんや!?
赤面して、下を向く。
「おい、てめえ、無視する気かよ。」
シンタローも赤い顔で聞いてくる。
「あ…、その、ようわからへんのやけど。」
何を言ってるん?なんで?
「あんなに、自分も好きだって言ってたくせに?」
は?
「もしかして、夜の事覚えてはる!?」
きっと、酔って記憶がない間に言ってしまっている。
だって、嫌じゃない。
きっと、あの時から、ずっと好きだった。
「もう一回、今好きって言えよ。」
「すっ…恥ずかしゅうて言えるか!」
「言え。」
顔が怖い。
「いっ、嫌や!」
それから、2人の押し問答が始まった。
end.