死の間際の続き


ー虚言ー


「女に抱かれたい。」

アラシヤマが瀕死だったと聞かされて、
心配で見に行き、手をかそうとした時の発言。

瀕死の状態でそう思ったのだから、余程強い願望だったのだろう。

野郎ばっかりのガンマ団で、至極当然の願望だ。
ただ、全国の美少年が集まるお陰で、同性趣味に走る輩は多い。
それは、外の遊女と寝ても恋愛は出来ねーし、
人が人を愛する形が、その環境で起こっているだけじゃーねーの?自分は理解出来ないけどと、思っていた。
認めてはいるが、自分は関係の無い事だ。
柔らかく、いい臭いの、女性がいい。
寧ろ、女性じゃねーと抱けない。

この一件で、アラシヤマもそうだったと分かった。
意外だった。
中世的な顔立ちに、勝手に、どちらかと言えば抱かれているもんだと思っていた。

本部に戻ったら、アラシヤマもそう言う店とかに行くのだろうか?
私生活の様子など、全く謎なので、少し興味がある。

アラシヤマが女性とシテいるのを頭で想像してしまい、何故かムカついて首をふった。

え?何これ?すっっげームカツク!!
事実的に力の差でライバルだからか?
負けてらんねえ!
やつより上等な女をモノにしてやる。

シンタローの考えは、自分では気づかないうちに、あらぬ方向に向かっていた。





後日


「よお。願望は果たしたのかよ?」

シンタローは廊下ですれ違うアラシヤマに声をかけた。

うわ、あんな時の事を言うなんて、嫌な奴やな!
アラシヤマは、ジロッっと相手を睨む。

「お前と違ぉて、忙しいんや!」

最近、シンタローに恋人が出来たと言う噂を聞いていた。
この忙しい時期に、どうぞご勝手に、総帥の息子はん。と思って居た。
ムカツク。

「お前、死にかけてた時に、女が欲しいと思ったんだろ。いいのかよ?」

「次に言うたら燃やしますえ。」
これ以上無いほどの全力で睨みつける。

「…女?と言うか、母にも抱っこして貰った記憶もないと、,死にそうな時にそう思ったんどす。人の弱った時の事を言い続けて面白ぉおすか?」

下品な勘違いをされてるよりは、誤解を解きたいのと、精神的にもう言うなと釘を刺す。

「は、母?」

シンタローは、勘違いしていた事に面食らった。

「つまり、愛されたかったのか。」

シンタローは自分を恥じて、神妙な面持ちで言ったのだが、
頬を赤らめて戦慄く、物凄い形相のアラシヤマと目が合う。

「また、アラシヤマが燃えてるべ!」
「また、火事だ!」
同期の桜たちが、沈火活動をし出す。

アラシヤマは、炎を沈めると、踵を返し、何処かへ走って行く。
「あんはんなんか大嫌いだ」
と小声で捨て台詞を吐いて。

シンタローは、アラシヤマの境遇を考えてみた。
自分は父に必要以上に愛された。
死ぬ間際に、愛情を求めるものなのだろうか?
足りていない物を欲するのか?


それ以降、シンタローの恋人の噂はなくなった。
どうやら心変わりしたらしい・本命が出来たとの噂が走り抜ける。



end


このあと、秘石を盗んでパプワ島。